どこから入って来たかわからない蟻みたいな小さい虫が俺のデスクに来た。俺のタスクの邪魔をするヤツは誰であろうと許さない。
デコピンで吹っ飛ばす。
しかしヤツは何事もなかったように動き出す。
俺は別に殺すためにデコピンしたわけではなく、吹き飛ばすためにしたので実質Win-Win。いや、蟻には悪いことをしてるが。すまんな。許せ。オメーが悪い。
ここで疑問に思う。
「なぜ蟻はデコピンしても死なないのか。」
圧倒的理系案件。文系は手も足も出ないだろ。
理系の大学院まで進学した俺なら解けるはずだ。
初手はこれだな。運動量保存則。
ここで蟻に伝わる運動量は、
m1v1+m2v2=m’1v’1+m’2v’2
ここではm1 は指の先端の重さ、m2は蟻の重さ、v1は指を動かす速度、v2は蟻の動く速度。
どうだ?文系よ。わかるか?読むの諦めてもいいんだぜ。
ここでm1=m’1、m2=m’2より、v’2について整理して、
v’2=(m1v1+m2v2-m1v’1)/m2
ここで蟻のデコピン後の速度は求めれた。
これは蟻の初速度だから、蟻のはぶっ飛び始めてから、どんどん遅くなっていく。加速度は、a < 0。ここで蟻の形状は球だと仮定して、ストークスの終末沈降速度を求める。
と思ったんだが、これ重力場におけるやつだから、単純に重力加速度g = aとすることはできないのかな。ヤベェ。わかんねぇ。
地面に蟻は接してるから、摩擦係数も考慮して、本来は蟻の形状は複雑だから、空気抵抗も考慮しないといけない。あかん。これ沼にハマるぞ。
多分だが蟻がデコピンでぶっ飛んでも死なないのと、バトミントンでシャトルをしばいても潰れずに、地面に落ちる時には遅くなっていることは物理現象としては、同義だと思うだ。
そうなると、蟻の生態に重要な因子があると考えた。
はっきりとは覚えていないが、確か、蟻ってムッチャ硬い甲羅で身を纏ってるんじゃなかったっけ。そうなると、俺の専門外だ。あかん、今回は俺の負けだ。
今後は蟻をデコピンするのはやめよう。死ぬかもだし。
生物専攻、物理専攻の人、同じ化学工学の同士、ムッチャ賢い人、この問題の回答を解ける人は一報をよろしく頼む。
解けたら俺は遠慮せずに、蟻にデコピンできるし。