サウナでのとある会話

「ボート部ですか?」

サウナ内である男Aが別の男Bに当然、聞き始めた。

私は週2回はサウナに行く。これは、健康目的のあるがシンプルに気持ちがいいからだ。

サウナ内でも会話は、いちサウナファンの私からすると御法度。やってはいけない。

ましてや、他のお客さんが多くいる場合は言うまでもない。

「こいつら、若者のくせに、サウナ内で喋るなや」

心の中の私がそうつぶやく。というのも私はよく行くサウナは、おじさん達が特にうるさいからだ。

質問された男は、

「違います。ラクロス的なものをやっています。」

そういうと、付き添いのCが

「自分たちの大学にボート部は確かないです」

という。質問したBは、

「自分は高校生の時、ボート部に入っていて、Bさんの日焼けあとがボート部そのものだったので。」

という。私は、Aのコミュ力のインフレ具合に少しにやけながら聞き耳を立てる。

Bは、

「この日焼けはタンクトップ焼けです。」

といった。なるほど。私はうなずく。

「Bさんはどこの大学なんですか。」

Aはそう聞くと、Bは、

「R大学です。」

という。Aは、

「R大学ってこの辺にあるんですか。知らなかったです」

と答える。なんて失礼なやつなんだこいつは、と私は心の中でつぶやく。

「自分、高校生の時にボート部に入っていて、その日焼けの形を見るとボート部かと思ってしまうんですよ」

とAは言う。

「そうなんですね」

Bは軽くいなす。

「H大学のボート部がたまに練習しているのを見かけるんすよ」

とAは言う。Bが

「そうですね、今、何年生なんですか」

質問すると、Aは、

「今、4年生です」

という。博士課程後期1年の俺より、圧倒的に年下なのは言うまでもない。

「俺の大学にもこんな積極的な学生がいるのか。」

とふと思う。Bは立て続けに、

「大学はH大学何ですか。」

Aは、

「違います。」

あまりのこれまでのフリの良さに笑ってしまう。

「おめー、明らかにH大学出身みたいな流れで話してたやんけ。」

と、私は心の中でツッコむ。質問したBも芸人並みに、鋭いツッコミを入れる。

「いや、違うんかい!!」

もっとこの後の会話を聞きたいと思ったが身体的限界を迎えた俺は、

サウナを後にした。

この日に限っては、サウナの中での会話も悪くないそう思えた一日だった。

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